サックスの本体とネックとを繋ぐ部分にはネジ(ネックスクリュー)があります。
上の写真の、楽器に向かって中央左側のネジを閉めることで、サックスのネックが本体に固定されます。
そして、左の写真の平べったいネジが楽器に最初から付属しているネジですが、最近は右の写真のような、円柱形の持ち手のネジを使う人が増えてきました。今では国内外で様々な円柱ネジも登場し、色々な選択肢があります。
左から3つが浅井管楽器工房製のネックスクリュー(GP, PGP, GP)、右の一つはYany Boostar
私は長野の浅井管楽器工房さんの円柱ネジ(と、たまーにヤナギサワのYany Boostar)のネックスクリューのユーザーです。
ところで、上の4つのネックスクリューが並んでいる写真、左の2つのネジと右のYany Boostarのネジの、ネジ山の付け根のところにリングがついているのが分かるでしょうか?ここ数ヶ月、このリングをとりつけた場合の効果の研究をおこない、浅井管楽器工房さんのネックスクリューの標準装備となりました。
円柱ネジは音がまとまり響きが増す一方で、抵抗感も増しやすく、そのバランスは楽器や演奏者の好みで変わってきます。そのバランスを取る助けをしつつ、円柱ネジの音色・吹奏感の効果を倍増させるのがこのリング。具体的には、円柱ネジによって増しやすい抵抗感を軽減し、より繊細なコントロールや演奏表現を助けてくれます。
このリング、ポイントは接着やろう付けなどしていない、ネックスクリューから完全に独立した着脱可能なパーツということ。そして、複雑な形ではなく、面・または線でネジや本体と単純な形で接することで、ネックスクリューと本体にかかる、ネジの歪な力(ネックを固定するための圧力や、軸に対して回転してかかる力の歪みなど)を、噛ませたリングによって分散・均等化させ、必要以上の抵抗感は取り除いています。さらに、管体の材質やメッキが音色に影響があることはよく知られていますが、リング(標準は総銀。他に金メッキとピンクゴールドメッキ)がその素材の効果を、ネジの圧力を通して繋がる周囲の管体やパーツにも影響を及ぼしています。
よく見ると全てのネジの付け根に、総銀のリングがセットされています このリングは、もちろん着脱可能
加えて、総銀や金・ピンクゴールドメッキとはいえ、ただのリングだけだと味気ないというプレイヤーのために、金メッキでガラスの装飾のついたお洒落なリングも用意があります。見た目の華やかさと、無垢なリングよりは重みのある芯のあるサウンド、しかし着脱可能のリングによる、不要な抵抗感を取り除いた軽やかな吹奏感という三拍子が揃っています。
金メッキ+ガラス キラキラです
浅井管楽器工房さんでは通信販売などはしていないものの、長野の演奏家の方々には、円柱ネジと一緒に、このリングも好評とのこと。円柱ネジの性能をより一層引き出すこのリング。浅井管楽器工房さんでこのリングが標準装備となる前にネックスクリューのみを購入した方は、お申し出があれば新しくネックスクリューを購入する方と同様に、リングをいただけるそうです。
私も昔は道具にこだわる前に自分の腕を磨くべき!なんて考えていたこともありましたが、演奏技量の領分と、道具の領分を見極めた上でベストな選択をすることもとっても大切で、これもまた演奏者の実力です。いずれ学校などに吹奏楽指導に行った時に、ネジにリングがついている子と出会えることがあれば嬉しいなあ、なんて思っています。
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